「採用サイトに載せたい写真なのに、すでに退職したスタッフが写っている…」
「スタッフを紹介したいけれど、顔写真をそのままWEBやSNSに掲載するのには抵抗がある…」
「良い写真なのに、WEBサイトの画角に合わず人物が見切れてしまう…」
看護職の採用広報では、このような「良い写真なのに、そのままでは使いづらい」という場面が意外と多いものです。
そんなとき、新たな選択肢として活用できるのが「生成AIによる画像編集」です。
生成AIというと、ゼロから画像を作るイメージが強いかもしれません。しかし採用広報では、すでに持っている写真を加工し、より使いやすい採用素材にするという活用方法もあります。
今回は、看護職採用の現場で役立つAI画像編集の活用方法と、医療機関だからこそ知っておきたい注意点をご紹介します。
今回の記事はこのような方におすすめ!
- 看護職の採用サイトやパンフレット制作を担当している
- SNSに使える写真が少なくて困っている
- 過去に撮影した写真をもっと有効活用したい
- 生成AIに興味はあるが、医療機関での使い方が分からない
- AI利用時の個人情報やセキュリティが気になっている
「使えないから撮り直す」と諦める前に、まずはAI画像編集でどんなことができるのか見ていきましょう!
こんな写真も活かせる!採用広報で役立つAI画像編集4つの活用法

① 退職したスタッフなどを写真から削除する
採用サイトやパンフレット用に撮影した集合写真。表情や雰囲気はとても良いのに、写っているスタッフが退職したことで「もう掲載できない」となってしまうことがあります。
AI画像編集では、写真の中から特定の人物を削除し、その後ろの壁や床などを自然に補完できる場合があります。
これまでなら、写真を使わない、撮り直す、不自然にならないようトリミングするといった対応が中心でした。AIを活用することで、一度撮影した写真を「採用資産」として、より長く活用できる可能性が広がります。
患者様などが写っている写真を扱う場合は注意!
「人物を消せるなら、院内写真に写り込んだ患者様もAIで消せばいいのでは?」と思われるかもしれません。技術的には可能な場合がありますが、ここには注意が必要です。
「人を消せること」と「その元画像をAIサービスへ送ってよいこと」は別の問題です。
例えば、入力したデータをAIの学習に利用しない設定になっていたとしても、クラウド型のAIサービスを利用する場合、画像そのものは外部のサーバーへ送信して処理されます。
そのため、患者様など個人を識別できる可能性のある画像については自己判断でアップロードせず、院内の個人情報保護・情報セキュリティ・システム管理などの担当部署や責任者に、生成AIの利用ルールが定められているか確認してから判断しましょう。
参考:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
② スタッフ写真をイラスト・キャラクター化する
採用サイトやSNSでは、実際に働くスタッフの顔や人柄を伝えたいところです。一方で、「インターネット上に顔写真が残るのは抵抗がある」「SNSへの顔出しは少し不安」という職員もいるのではないでしょうか。
そんなときは、実際のスタッフ写真をもとに、イラストやキャラクター調へ加工するという選択肢があります。
- 「先輩看護師に聞きました!」
- 「新人看護師の1日」
- 「○○病棟のおすすめポイント」
といった採用コンテンツにも活用できます。写真をそのまま掲載する以外の方法を用意することで、スタッフが採用広報に参加するハードルを下げられる可能性があります。
ただし、イラスト化すれば本人への確認が不要になるわけではありません。本人と分かる形で公開する場合などは、加工内容や掲載先も含め、事前に確認しておきましょう。
また、採用活動では、求職者に職場の雰囲気や働く人の姿をリアルに伝えることも大切です。イラスト化は顔出しへの不安を軽減できる一方で、実際のスタッフの雰囲気は伝わりにくくなるため、可能であれば実際の写真を使用するのがおすすめです。
③ 写真の「余白」を増やして、WEBやパンフレットで使いやすくする
採用広報の制作で意外と困るのが「写真の画角」です。人物を中心に撮影した結果、「WEBサイトの横長バナーにすると左右の人が切れてしまう」「パンフレットに文字を置くスペースがない」といったことがあります。
そこで活用できるのが、AIによる背景拡張です。人物や元の構図を大きく変えず、壁や床などの背景を左右・上下へ広げることで、次のような媒体へ展開しやすくなります。
- WEBサイト用の横長画像
- SNS用の縦長画像
- パンフレット用の画像
人物の横に余白を作ることで、「病院見学会開催!」などの文字も配置しやすくなります。写真を撮って終わりにせず、さまざまな採用ツールで有効活用する。そんな使い方にもAI画像編集は役立ちます。
④ 撮影前に「こんな写真が欲しい!」をイメージ化する
AI画像は、完成した画像をそのまま掲載するだけが使い方ではありません。
例えば、「若手看護師3名が自然に話している写真が欲しい」「プリセプターと新人看護師の距離感が伝わる写真を撮りたい」「明るく親しみやすい雰囲気の写真にしたい」という希望があったとします。
文章だけでイメージを共有しようとすると、病院担当者、制作担当者、カメラマンの間で想像する写真が少しずつ異なることがあります。
そこで、撮影前にAIでラフとなるイメージ画像を作り、「当日は、このような構図・雰囲気で撮影しましょう」と共有する方法があります。
AI画像そのものを実際の病院写真として掲載するのではなく、より良い“リアルな写真”を撮影するためのイメージ共有に活用するという方法です。
AI画像を使う前に!医療機関だからこそ確認したい3つのポイント
① 院内の生成AI利用ルールを確認する
生成AIを業務で利用する前に、まず確認したいのが院内ルールです。
- 利用できるAIサービスを限定している
- 患者情報は外部AIサービスへ入力しない
- 生成AIを利用する前に情報システム部門への確認が必要
病院によっては、このようなルールが定められている場合があります。看護部や採用担当だけで判断せず、個人情報保護・情報セキュリティ・システム管理などを担当する部署や責任者へ確認してから利用しましょう。
② 「学習されない設定=何を入れても大丈夫」ではない
AIサービスによって、入力したデータの保存方法や利用方法は異なります。そのため、「AIの学習には使われない設定だから大丈夫」だけで判断しないことが重要です。
患者様や職員に関する情報が含まれる場合には、そもそもそのデータを外部サービスへ入力してよいのかという段階から考える必要があります。利用するサービスの規約やデータの取扱いを確認するとともに、判断に迷った場合は院内の担当部署へ確認しましょう。
③ AIで「実際の病院」を作り変えない
AIを使えば、実際には存在しない人物や設備、背景などを追加することも技術的には可能です。
しかし、看護職採用で大切なのは、「入職したら、どのような場所で、どのような人たちと働くのか」を求職者にイメージしてもらうことです。
実際にはない設備を追加したり、存在しない職員を実際のスタッフのように見せたり、病院内を実際とは大きく異なる状態に加工したりすると、求職者に誤った印象を与えかねません。
AIで病院の魅力を“作る”のではなく、病院が本来持っている魅力を“伝えやすくする”ためにAIを使う。
AI画像編集って実際どうなの?よくある疑問
Q. AI画像編集は有料じゃないとできない?
生成AIサービスによって料金体系や利用できる機能は異なります。無料で利用できるサービスもありますが、編集回数や画質、利用できる機能などに制限がある場合もあります。
業務で利用する際は、「無料か有料か」だけでなく、必要な編集ができるか、業務利用が可能か、入力したデータがどのように取り扱われるかまで確認して選びましょう。
Q. 結局、どのAIを使えばいい?
今回は、特定のAIサービスをおすすめしていません。サービスによって機能や利用条件が異なるため、次の点を確認することが大切です。
- 院内で利用が認められているか
- 入力した画像がどのように保存・利用されるか
- 業務・商用利用が可能か
- 必要な画像編集ができるか
院内で利用できるAIサービスが指定されている場合は、まずそのルールを確認してみましょう。
【おまけ】AI画像編集を依頼するときのコツ
AIへ画像編集を依頼するときは、「何を変えるか」と同時に「何を変えないか」も伝えるのがポイントです。
例えば「左側の人物を消して」だけではなく、次のように具体的に伝えます。
写真左側の人物のみ削除してください。その他の人物の顔・服装・位置は変更せず、削除した部分の壁と床だけを自然に補完してください。
意識したいのは、次の3点です。
- 何を変えたいのか
- 何を変えたくないのか
- 何に使用する画像なのか
「WEBサイトの横長メインビジュアルに使用するため、人物は変更せず、左右の背景だけを広げてください」と用途まで伝えることで、求める画像に近づきやすくなります。
また、AIによる画像編集では、意図していない部分まで変化する場合があります。完成後は、人物の顔や制服、医療機器、院内表示などに不自然な変更がないか、必ず人の目で確認しましょう。
もっと詳しく知りたい方へ|参考になる公的資料
個人情報保護委員会|生成AIサービスの利用に関する注意喚起
生成AIへ個人情報を入力するときに、どのような点に注意すべきかを示した資料です。今回の記事で特に重要なのは、完成後の画像だけでなく、AIへ入力する元画像の段階から情報の取扱いを考える必要があるという点です。
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
厚生労働省・個人情報保護委員会|医療・介護関係事業者向けの個人情報ガイダンス
病院・診療所などの医療・介護関係事業者が、個人情報をどのように取り扱うべきかを整理した資料です。
厚生労働省「厚生労働分野における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン等」
経済産業省|AI事業者ガイドライン
AIを利用する際の安全性やプライバシーなど、基本的な考え方がまとめられています。院内や組織内でAI利用の方針・ルールを考える際にも参考になります。
文化庁|AIと著作権について
生成AIと著作権について、基本的な考え方やチェックリストが公開されています。既存の作品やキャラクターを強く意識した画像を作成する場合など、著作権が気になるときに確認してみましょう。
まとめ:AIで「現実を作る」のではなく、今ある採用素材をもっと活かそう
AI画像編集を活用することで、「退職したスタッフが写っているから使えない」「画角が合わないから使えない」「顔写真の掲載に抵抗がある」といった写真にも、新たな活用方法が生まれます。
一方で、AIで画像を加工すること自体が採用活動の目的ではありません。看護職採用で大切なのは、「誰に、どんな病院の魅力を、どのように伝えるのか」を考えることです。
採用サイト、パンフレット、SNS、合同就職説明会など、さまざまな採用活動の中で写真やコンテンツをどう活用するのか。その設計があってこそ、AI画像編集も活きてきます。
現場のリアルは、リアルな写真で伝える。
そのリアルをもっと伝えやすくするために、AIの力を借りる。
生成AIも採用広報をより効率的にするための一つの道具として、上手に活用していきましょう。
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