看護師採用でミスマッチを減らす!対話型の面接の実践方法【対話型面接のコツ|後編】

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前回の記事では、看護師採用においてミスマッチが起きる背景と、対話型の面接を取り入れるとよい医療機関の特徴についてご紹介しました。今回の記事では、対話型面接とは何か?どのように進めると対話型になるのか?をご紹介します。

対話型面接とは

ここでいう対話型面接とは、面接官が一方的に評価するのではなく、求職者との相互理解を深めることを目的とした面接のことを指します。
従来の面接との違いを見てみましょう。

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従来型の面接は、評価を目的としたものなので、面接官主導で一問一答形式が一般的です。面接官が聞きたいことを聞いていき、最後に「何か質問はありますか?」と逆質問する…という流れが多いのではないでしょうか。

一方、対話型面接は相互理解を目的としたもので、会話量としては、求職者と面接官は半々くらいになることが多いです。双方向のコミュニケーションを特徴とし、面接と言うより面談という雰囲気・イメージが近いかもしれません。

対話型面接に期待される効果

対話型の採用面接を実施することで、期待される効果は以下の通りです。

①ミスマッチ・リアリティショックの減少

対話形式をとると基本的に「面接用に準備してきた自分」では対応できないため、求職者の価値観や働き方に関する希望を理解しやすくなります。
また、対話を通じた情報提供のなかで、働くうえでの良い面だけでなく、悪い面もあえて情報提供することで、入職後のギャップを減らすことができます。より現実的な意思決定を促すことができ、その病院・担当者への信頼感にもつながります。

②志望度の向上

対話型面接では、応募者が「話を聞いてもらえた」と感じやすくなります。
「自分を理解しようとしてくれている」
「一方的に評価されていない」
「自分に合った働き方を一緒に考えてくれる」
と感じさせる対話が、志望度を高めることにつながります。親身になって建設的な話ができるほうが、好印象ですよね。

実際に、人材紹介会社の担当者の方にお話を伺うと、「面接・見学時の対応や雰囲気が決め手になることが多い」ということでした。面接時にこちらが評価しているつもりでも、求職者からも評価されていることを忘れてはいけません。

③定着率の向上

対話を通じて納得感のある意思決定ができると、働き始めてからの満足度も当然上がります。結果として、早期離職の防止、長期的な定着につながる可能性が高まります。

良いところばかりアピールして入職してもらい、ネガティブなギャップを感じられるより、悪い面も覚悟のうえで入職してもらうことのほうが納得感は高くなります。ついつい人数を確保しようと良い面ばかりアピールしがちですが、「ここは改善しようと思っている部分です」と前向きに悪い面もお伝えすることは重要です。

対話型面接の実践法

では、どのように面接を進めると対話型となるのでしょうか?キーワードとなるのは、「双方向の」「引き出す」コミュニケーションです。対話型に引き込むための問いかけの切り口を、過程に沿って解説します。

今回は、採用までのリード期間が短く相互理解が不充分になりやすい≒対話型に切り替えることで効果を発揮しやすいと思われる、既卒看護職の面接を例に取り上げます。

問いの切り口 病院側 求職者側
①ヒアリング 美容皮膚科で経験を積んだ後、どうして改めて病棟看護師として働こうと思ったのですか? (やっぱり病棟に戻りたいと思ったのはなぜだろう)
~だと考えたからです。
②フィードバック Aさんは○○な部分を大切にしていきたいのですね。それも△△での経験が影響しているのですか? そうかもしれません。実は前職でもそのような思いで入職したのですが……。
(自分はやっぱり○○を大切にして働きたいなあ)
③情報提供 私たちも、○○を日々大切にしています。たとえば、~。 (自分も同じ思いだ。そんな環境で働けるっていいな)
④情報のすり合わせ 当院にどのようなイメージがありましたか? 話を聞いて、明確になったでしょうか? 思っていたより、◇◇な印象を受けて興味深いと思いました。▽▽の部分を魅力的に感じました。

(表:飯塚彩、渡辺かおり:企業と学生の相互理解を深める「対話型採用」~「対話型採用」で就業レディネスを高め、適応を促進する~,RMS Message,71:43,2023の図表5を参考に、筆者が作成)

①ヒアリング

ヒアリング段階では、求職者の価値観や強みを把握できるような問いかけをします。問いかけにより、求職者にとっては内省し言語化する機会になります。たとえば、過去の転職の際に考えたことや、離職の原因となった出来事に対してどのように向き合ったか、などがあります。

②フィードバック

「フィードバック」では、「ヒアリング」で伝わってきた求職者の印象や価値観をフィードバックします。これにより、求職者にとっては「確かに、自分にとってはここが大切なのかも」と自ら気づくことを助けます。客観的に自己を捉えることにつながり、自己理解が深まったり、自分のことを理解しようとしてくれている面接官に信頼感を抱きやすくなります。

③情報提供

「情報提供」の場面では、「ヒアリング」や「フィードバック」から明らかになってきた求職者の興味関心や価値観に合わせ、病院や看護部について情報提供します。たとえば、看護部のパンフレットを開きながら、福利厚生のなかで気になるものがあるか尋ねてみるのもいいでしょう。気になった部分を重点的に説明することで、より効果的に情報提供できるほか、気になった理由を聞いてみると、その方の人となりが見えてくることもあります。

サークル活動に関心を示したとすれば、院外での職員どうしの付き合いに抵抗感がないタイプだとわかるかもしれませんし、学生時代の部活動やサークル活動への取り組みについて話が出てくるかもしれません。入職後に院内のキーマンを引き合わせることも可能かもしれません。

④情報のすり合わせ

「情報のすり合わせ」では、認識にギャップが生じていないかをすり合わせます。たとえば、志望動機を質問したとき、採用担当者として「うちの強みはそこだけではないんだけどなあ」と感じたことはありませんか?これは、表に出ている情報や、求職者の知識が不足していることによって生じることが多くあります。

少し聞き方を変えて、「当院にどのようなイメージがありますか? どこからそのように感じましたか?」と投げかけてみると、志望動機を聞くよりも、自院がどのように見られているか、自分たちの実践を理解してもらうために、どのような情報を出していくべきなのかが見えてくることがあります。
求職者が増えない、内定承諾率が上がらない、自己応募が少ない場合には、ターゲットとなる求職者に聞いてみるのが一番です。

また、前回の記事でも触れた、「自分にとって都合よく条件を解釈してしまう人がいる」「本人の思い込みなのに、聞いていた話と違う!と訴えてくる」というケースにも有効と考えられます。情報提供したことと、相手の受け止めに齟齬がないか確認することは大切です。この点でコミュニケーションに難がある場合、入職後の仕事上のコミュニケーションにも難があることがほとんどですので、潔くお断りして良いと思われます。

まとめ|対話型面接は再現可能な形式

対話型面接は、特別な準備が必要な面接ではありません。
ご紹介したポイントを押さえ、話しやすい環境づくりをするだけで、無料で明日から試すことのできる面接形式です。

ただし、「求職者を評価する」という観念が頭から離れない場合、実践が難しいことがあります。
「評価するのではなく、相互理解の場である」
「一方的に質問していないか?相手とのコミュニケーションが成立しているか?」
「自分の正解を押し付けていないか?その人そのものを理解しようとしているか?」
と自分で言い聞かせながら、ぜひ明日からお試しください。

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